2026/1/17 07:14
本の紹介
この本と、いつ出会ったのかは覚えていません。
けれど、気が付けばずっと手元にありました。
アンデルセンの『絵のない絵本』。
月が夜ごとに語る、ささやかな物語たちです。
とくに何度も読み返したのは、第十五夜。
荒野を旅する人々と、寒さの中で歌う小鳥の話。
「ああ、祈れよ」と歌うその声は、希望と絶望のあいだで震えながら、それでも歌う祈りでした。
結末が救いでなくとも、それでも希望を抱こうとすること。
私にとってこの物語は、人ができる最も静かな抵抗でした。
エンデにこの本を置いているのは、この店が、月の語る物語のような場所でありたいと思っているからです。
大きな声ではなく、説明もしすぎず、ただ静かに、やさしい時間を守ること。
あるいはこの店そのものが「物語を語る月」であり、訪れる人は、その話に耳を澄ます画家であってほしい。そんな願いも、ここには込められています。
『絵のない絵本』は、エンデの灯りの原点のような一冊です。
